
お城の茶会 (濃茶席/九皐齋)
佐世保支部 松清会 井上三穂
秋晴れの佳き日、濃茶席はお館(たち)の中の明治16年心月公により築かれた木造の古色を帯びた建物(現在は松浦史料博物館)の一角にあり、廻りを森で囲まれた九皐齋で行われました。 |
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今年は新城300年を記念して床の間には新しくお城を建てる時、幕府に出された色彩がついた城の見取り図の掛物が掛けられ、両側に伝来の唐銅の堂々たる花入れにお館の庭というより、山から切ってきたもみじと馥郁たる黄菊がいけられました。脇床は新城築城に関しての書き付け(古書)2、3冊と静山公の書庫の丸瓦、大きな蒔絵の文箱が飾られました。席主は、宗家が六席とも努め、親しくお客さまと話をしたり、詳しく説明したり致しました。
お点前は、台子(草の草)、道具は伝来の立派な皆具をはじめ、お城の中の茶会にふさわしい物ばかりでした。お客様は、200余名、1席30名のお客様をお迎えし、心を込め て一服のお濃茶を差し上げました。お菓子は鳥羽玉(ウバタマ、菓子百菓の図より)、各界の方々、各流派の方々、オランダ、アメリカなど外国の方々もおみえになり、宗家は得意の流暢な英語で説明され、質問を受けたりとなごやかな一日でした。海の見える高台のお館で毎年行われる平戸三心茶会は、今年は茶席3席、点心席、松浦史料博物館入場券付きで3,000円でした。
来年もたくさんのお客様をお待ちいたしております。
平戸三心茶会に参加して (薄茶席/閑雲亭)
平戸支部 松華会 松尾啓子

10月24日(日)、松浦史料博物館、松浦家御庭、閑雲亭の三ケ所で、茶会が催されました。当日は秋晴れに恵まれ汗ばむほどでした。平戸グループは閑雲亭での薄茶席担当となり、数十人のメンバーが、それぞれの役割を無駄なくこなしていきました。
外国からの来客もあり、正座をしてにこやかにお茶を召し上がる様子に、緊張がほぐれ、和やかな雰囲気を感じることができました。
午後から松浦家お庭の方へ、お手伝いに行きました。お庭には、野立てさながらのセッティングに胸踊る思いでした。青竹数本の支柱に下げられた自在かぎにひとかかえはあるであろう大やかんがぶら下がっています。メラメラと竹や蒔が赤い炎を上げ、やかんの湯を踊らせています。その横に 置かれたテーブルの上でお茶を点てるのです。なんと風流で素晴らしい試みだと喜んで点ました。4〜5杯までは楽しみながらできたのですが、照りつける太陽、側で燃える火、くすぶる煙で汗と涙でお茶も十分に見えなくなるのです。
御来客を案内しておいでになった奥方様は、「お茶もお菓子もとっておいしい」と満面の笑顔でいらっしゃいました。
室内には、茂右衛門氏の陶器が展示されておりました。
このような茶会が滞りなく終えられるのは、会長や会員の働きは当然の事ですが、御宗家と奥方様の会員に対するお心配りとお人柄が会員の心をひとつにする大なる要となっていることを痛切に感じました。鎮信流茶道に出会った事を誇りに思い、若い世代にも広がる事を期待する一日でした。
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