オランダ「百菓之図 茶会」に参加して
松親会 坂井俊彦


2月中旬、オランダ アムステルダム ロイドホテルに於いて「百菓之図 オランダ茶会」が、ご宗家夫妻、松浦史料博物館関係者、および鎮信流の門人が参加して実施されました。ロイドホテルは100年ほど前に建てられ、移民収容所、監獄などとして使われていた歴史ある建物で、15年ほど前に文化交流の場として再生され、多くのデザイナーや芸術家が集うホテルとなっています。

この茶会はオランダ大使館等の後援を受けた「MONO Japan」 (http://monojapan.nl/jp/home-jp.html)という日本の工芸品やデザインをオランダに紹介する展示・販売のイベントに参加したもので、オランダ人デザイナーと平戸の和菓子職人が共同で創作した新しい「百菓」を展示・即売と同時に呈茶を行うというもので、鎮信流からは御宗家夫妻及び平戸・佐世保・東京支部から6名が参加しました。

今回の「百菓之図 オランダ茶会」は平成28年に平戸、東京にて実施された「東西百菓の図 茶会」の総まとめとも言えるもので、5日間の会期中、毎日200人を超える人々が訪れ、お菓子とお茶を楽しまれました。
日本での関連記事はホームページ以下に掲載 
平戸:「東西百菓之図はじまりはじまり会」:
http://www.chinshinryu.or.jp/shibu/hirado/28/0422/index.html 
東京:「東西百菓の図 茶会に参加して(三田 芝浦ハウス/オランダ大使館)」
http://www.chinshinryu.or.jp/ryugi/28/1101.html 

100人以上収容可能なホテルの一室に菓子の展示・販売部分と呈茶席が設けられ、4畳半の畳の上ではお点前をしながらお客様にお茶をお出ししました。
掛軸は平戸真景、御宗家手作りの青竹の花入れが設えられ、花は現地で購入した桃の花等を使いました。アムステルダムには花市場がありチューリップ以外にもいろいろ花があふれていて、大変かと予想していた花さがしは苦労せずに助かりました。

オランダの人たちは、予想に反して好んで畳の上に座ってお菓子やお茶を楽しまれ、ご宗家のお話しに耳を傾けていました。風炉・釜等の道具はアムステルダムに駐在している東京支部の梶さんからお借りした上に、お客様がもっとも多い日曜日には一日中点前も担当していだいき大変助かりました。 御宗家は、茶会とは別に「茶道・武家茶について」の講義を行われました。100人を超えるオランダ人が参加し、御宗家のユーモアあふれるコメントや回答に会場は大盛況でした。
女性方は、通常の茶会と同様に、水屋、点前、お運びに加えて、お菓子の販売も手伝われ、大活躍でした。「東西百菓の図」の菓子は、オランダ人デザイナーの意匠に基き平戸の和菓子店3軒(蔦屋、やしろ、熊屋)が製造したもので、チョコレートや香辛料を使い通常の和菓子とは少々異なるのですが、残念ながら試食はかないませんでした。

此の度訪れたオランダでは自転車専用道路を歩いていて、何度も自転車に何度も注意されたこと、どこまでも平坦なオランダの地形、昔アジアに進出した東インド会社の関係からかとても親切なアムステルダムの人々、ホテルの部屋のシャワーがベッドの横に壁から直接出ていて仕切りがなく、水浸しの床を備え付けのモップを使って掃除したこと、オランダ人が抹茶を「マッチャ」と呼んでいたこと、多くのオランダ人がお茶を飲む前に『茶碗は何回回すのか?』と聞いてきて驚いたこと等いろいろな経験をさせていただきました。