金剛山大隆寺開山忌御献茶茶会
平成23年3月29日
宇和島支部 松風会 山下恵美子
 春の光耀く3月29日(火)、金剛山大隆寺において開山大室和尚の毎歳忌(390年)がございました。
  昨秋、金剛山より開山忌にお席をという申し出があり、11月に御宗家様、奥方様が御来宇のおり、御宗家様のお献茶、薄茶席を松風会で一席設けることとなりました。御宗家様、奥方様には、東北関東大震災後の御不安のなか、お道具など諸々ご配慮いただき、前日には、お床をはじめ、水屋など準備すべてに御指導を賜りました。
 当日、御宗家様のお献茶に始まり、大本山霊雲院則竹秀南老大師を導師とする荘厳な法要が執り行われました。京都お田長の精進料理の後、御宗家様のお席主による茶席で皆様一服を愉しまれ、武家茶鎮信流への理解を深められました。
  霊雲老師、伊達家当主、そして平戸藩松浦家当主とお三方お揃いということは稀有なことで、このような機会にお席を持たせていただき松風会にとって大変有り難いことでした。
 光國寺様、檀家総代・世話人の方々から「鎮信流に華を添えていただきました。」と、思いがけないお礼の言葉を頂戴しました。これからも、金剛山との御縁を大切に松風会会員一同、精進してまいりたいと思います。
 
金剛山開山忌茶会を終えて
 
宇和島支部・松風会 小島和子
 絢爛と咲く山門の桜花を仰ぎ、石段を上ると本堂庭の白い辛夷の花と紫の躑躅が私たちを迎えてくれました。
  朝の澄んだ大気に包まれた金剛山大隆寺では、午前11時から開山忌法要がとり行われ、点心后、鎮信流による薄茶席がしつらえられました。御席には、妙心寺本山霊雲院則竹秀南老師、伊達家第13代当主宗信様を初め、多数の高僧、地元の住職、檀家の方々が入席されました。
  席主は鎮信流御宗家がお務めになられ、先ず鎮信流の起こりから現在に至る茶史や平戸松浦藩宇和島藩・仙台伊達藩との縁りについてお話下さり、本日の法要に於ける御宗家の献茶と呈茶の意味がよくわかりました。
 床の御掛物は、仙台伊達藩3代綱宗公(雄山公)の御筆で、実に珍重なる双幅でした。お花は百花の王牡丹が活けられ高雅な趣きを漂わせておりました。茶席ではお客様の率直な問いに、御宗家自ら豁達な応対をなさり、時には笑いが起り終始和やかで楽しい雰囲気の中、お茶の嗜みのあられる僧侶の端正なる振舞を目にし、その日常生活の一端を伺いました一方で、武家茶としての力強さと美しさを尊ぶ鎮信流の心に思いを重ねて、人間としての真の心の拠り所と安心を得られる修行とは何なのかと考えさせられました。
 午后の日差しが明るく伸びる中で、心のこもったお茶と美味なるお菓子を頂き乍ら、主客が一体となり、まるで豪爽なる雰囲気の中に溶込んだ感がして、格調高く寛雅なお茶席でした。先日の東日本大震災の衝撃以来、不安な日々を過ごす私たちが、本日の諸行事に侍す中で、萎縮していた心が大きく手足を伸ばし、本来の元気を取り戻したようでした。日頃頂いております法恩の深さに改めて感謝し、謙虚に生きる態度こそ、精進だとしみじみ思った次第です。今后ともお茶を通して、多くの人々との出会いを喜び、人の輪の広がりを願いたいと存じます。
  被災地の一刻も早い復興を切にお祈り致します。
 
金剛山開山忌茶会にお点前をして
 
宇和島支部・松風会 赤松 聖一
 最近肌寒い日が続いておりましたが、当日は晴天で金剛山の桜は開山390年を祝って不思議と満開で大変きれいでした。
  11時より御宗家の献茶が始まり、19名の僧侶の読経と厳粛で迫力のある式典でした。12時より昼食、京都の食材で京都の料理人の精進料理、素材の味をいかした上品で大変おいしいお料理でした。
  その後の薄茶席で私は第一席目の点前をさせていただきました。正客は妙心寺霊雲院老師、次客は大乗寺老師、続いて京都の僧侶、伊達13代当主などのお客様でした。道具は松風会で整えましたが茶杓は御宗家が当寺の竹で削られたものを使いました。席主の御宗家のお話を聞きながら、落ち着いて気持のよい点前をさせていただきました。
  御宗家様御夫妻には前日より来ていただき、色々と御指導をいただきありがとうございました。