令和5年度 松洽会総会並びに茶会
松親会 松浦宏信
  今年度の松洽会総会及び茶会は5月13日、14日に開催されました。コロナ感染も まだ収まっておりませんし、お天気も危ぶまれておりましたが、無事に会を終えることができ、松洽会役員、および、松親会一同は皆安堵しております。各支部の方々にも多数ご参加いただきました。御礼申し上げます。

 総会は芝パークホテルにて16時より行われました。ご宗家様の挨拶に続き、松洽会・濱谷会長が、「緑輝く新緑に相応しい爽やかな総会をゆっくり味わって、実りの多い会にいたしたいと思います」と開会の挨拶をされました。続いて議題へと進み、令和4年度行事報告・会計報告・監査報告、令和5年度行事予定・予算案について、渡邉事務局長の進行の下、スムーズに会は進みました。
 総会後の懇親会はご宗家様からのお話をいただく時間を冒頭に設け、それから皆様で会食をしていただく趣向と致しました。 ご宗家様のお話「陰陽五行」はたいへん興味深いものでした。五元素である木火土金水が循環するとする考えが、万物の安定を保っているのであり、茶をするにあたっても、非常に色濃く家の土台のように必要な考えであることを説かれました。「茶室の空間の発生からして陰陽五行に大きく影響を受けており、例えば点前で棗や茶杓を置く場所を決めるとき畳の目の数で決めるのではなく、物には大きさも形も違いがあるのだから、陰陽五行思考における小宇宙の中において、心の目で置く場所を決めることが大切なのだ」と。「茶をするのにも陰陽五行思考が必要だ、ということを十分理解するように」と、お話を締め括られました。
 その後会食に移り、土井東京支部長からの歓迎のことばに続き、佐々木長崎副支部長に乾杯の発声をお願い致しました。
支部のメンバーが集まる機会は少ないので、皆様和気あいあいと歓談を楽しんでいらっしゃいました。将来を担う若手の人達にも交流の輪の広がりを感じました。


 2日目は9時より増上寺の拝観を企画致しました。 普段は入れない徳川将軍家墓所宝塔を担当者の案内で、見学及びお詣りをさせていただきました。2代秀忠公、6代家宣公、7代家継公、9代家重公、12代家慶公など、 歴代将軍の方々の墓所をまわることができました。
 そして、10時より増上寺、大広間で雅楽の演奏を聴かせていただきました。演奏は霞会館の会員で構成される雅楽団体で「絲竹會」にお願い致しました。徳川康久様を会長とする絲竹會は「雅楽は保存されなければならない」という明治天皇の強いおぼし召しにより創立された歴史ある会です。徳川様には正式な装束を着用して演奏に臨んでいただきました。楽器編成としては、ショウ、ヒチリキ、リュウテキの3種、6人編成で、徳川様から雅楽の歴史についてや各楽器の説明をお聞きして、2曲ご披露いただきました。1曲目は陰陽五行にかかわる中国の唐の時代の曲、「五常楽」で、陰陽五行に加え、人の道としての仁・義・礼・智・信を雅楽の音階である五つの音に当てはめた曲。2曲目は「超天楽」という曲名の、雅楽の中で一番有名な曲で、福岡の黒田藩で歌われた黒田節はこの「超天楽」を基に作ったと言われているそうです。普段なかなか生で聴くことがない雅楽、最後は盛大な拍手とともに奏者の方々を お送りいたしました。
 その後は2組に分かれて、中広間に薄茶席を、食堂で点心席を設け、交互に入っていただきました。茶席の床には、春を告げる雲竜柳と芍薬を、菓子は“ちもと”の菖蒲と八雲餅に致しました。ご正客の徳川様とご宗家様との間で、雅楽の歴史や楽器についてお話しがはずみ 穏やかなひと時でした。
 この度は、雨も降り足元が悪い中、支部の方々には多数ご参加いただき、皆様のお陰で届懲りなく会を終了することができました。皆様のご協力に感謝申し上げます。 誠にありがとうございました。