東慶寺 水月観音縁日月釜を終えて
松親会 小関 微笑子
 このたび北鎌倉の東慶寺の依頼で水月観音縁日月釜の席を令和3年9月18日(土)に寒雲亭で引き受けさせていただきました。東慶寺では水月観音縁日の18日の御開帳に合わせて月釜の催しが今年4月から毎月行われています。
 東慶寺は御所寺の尼寺として開基は北条貞時、開山は北条時宗の正室の覚山尼により建立され、鎌倉時代からの長い歴史を持っており縁切り寺、駆け込み寺と親しみを持って呼ばれています。現在は尼寺ではなく鎌倉臨済宗円覚寺派に所属しています。
 水月観音が奉られています水月堂は、加賀前田家の持仏堂を移築したお堂で、その茶室をお借りして毎月お稽古をいたしております。

薄茶席6席、1席10名の茶会でしたが、コロナ禍でしたので東慶寺と相談しながら万全の対策を取って臨みました。当日は、台風の襲来で朝から激しい雨と風の中、お客様のお足元の心配をしながら10時より一席目が始まりました。
 お客様や私共全員がマスクを着用、茶室では席主のみが話をし、正客も会話はご遠慮いただきました。とは言いましても、なかなかそうは参りません。最小限の会話はいたしかたありませんでしたが、ご正客もご配慮の上、中身の濃いお尋ねをしていただき、大変興味深い楽しいやり取りのお席となりました。
 お菓子は平戸蔦屋のカスドースをお出ししましたが、茶席ではなく受付のある書院で、お一人お一人に銘々皿で召し上がっていただきました。出来るだけ茶室ではマスクを外さないようにとの配慮をし、また、拝見は皆様に回さず、棗、茶杓(宏月ご宗家作)、主茶碗(青磁)、替茶碗(臥牛窯・祥月公筆・華)をかぎ畳にお出しいたしました。
 また、今回はご正客の席前に置きます煙草盆のかわりに、台風で荒れた一日でもあり、少しでもリラックスしていただきたいとの想いから松浦家の家紋を染めた袱紗に、私がチェコにて買い求めましたガラスの亀を置かせていただきました。
 このようにかなり制限された茶席でしたが、その制約の中から工夫をして新たに楽しみを見出すことが茶道の求める道の一つではないかと思わされた一日でした。 ある門人の方より、ご先代の祥月公が、この東慶寺寒雲亭において茶会をされたと聞き、ご縁がありましたことを感慨深く思い返しました。
 後日、茶会のご報告を奥方様にご連絡をいたしましたところ「恐らく、気持ちの良い疲れでしょうか」とお返事をいただきました。私も、弟子たちも本当に気持ちの良い、爽やかな疲れを感じた一日でございました。

寒雲亭茶室

一席目のご正客 井上ご住職

水月堂(左より聖徳太子幼児像、水月観音・釈迦誕生像)