平成29年度 初釜に参加して
松親会 高橋 駿介
 1月15日日曜日、横浜の三溪園にて鎮信流の初釜が行われました。前の週の半ばからの冷え込みが続き、この日も朝からとても寒い一日となりましたが、日中は良く晴れて陽春となりました。
 立礼の奥方様が席主をつとめられる薄茶席で、午前の部の第1席 のお点前をさせて頂き、夢のようなひとときでした。前日はあまり良く眠ることもできませんでしたが、当日は朝から準備であれこれと余計なことを考える間もなくお点前に入ることができました。
 今年の干支は酉ということで、薄茶席にはトリにまつわる道具が多く出されました。水指はそれ自体で水を注げるような、鳶のくちばしを連想させる形をしており、床のオシドリの形をした香合は、木賊、水仙、富貴草などの花と合わさり、まるで池で遊んでいるかの様な景色でした。茶碗にも鶏を始めとした様々なトリが描かれており、まさにトリ三昧といった様相となりました。また干菓子もユニークで、かつて平戸には海を渡って様々な香辛料が持ち込まれたことから、オランダ人アーティストと平戸の老舗熊屋さん達が手を組んで生み出した、シナモンやナツメグなどを用いた干菓子が出されました。
 薄茶席の午前の部を無事に終え、お昼のおいしいたん熊の松花堂弁当を頂いた後は薄茶席、濃茶席と入らせていただきました。濃茶席では旅箪笥を用いた御宗家様のお点前を拝見し、普段とは全く違った雰囲気の中での席に感激し、またお茶の奥深さを感じることができました。今年は鎮信流御宗家様の初釜で、奥方様席主の薄茶席のお点前をさせていただき、忘れることのできない2017年の幕開けとなりました。これからも一歩一歩、鎮信流茶道の道を精進して参りたいと思います。