「松平家・松浦家―蓁姫の婚礼調度と松浦家の秘宝」献茶式・茶会に参加して
松親会 久保 明子
福島県白河市は松浦静山公と旧白河藩主松平定信公が親しい間柄であるということから平戸や松浦家にもご縁のある所でございます。白河の博物館集古苑において行われました特別企画展「松平家・松浦家 蓁姫の婚礼調度と松浦家の秘宝」を記念して十月二日御宗家様が定信公を祀る南湖神社でお献茶式、隣接する茶苑翠楽苑においてお茶会を催されました。前日は集古苑を拝観し、午後から翠楽苑での準備を行いました。その後宿舎のホテルで各支部の皆様と久しぶりの再会を喜び、「松平家・松浦家をお迎えして」の歓迎会に出席致しました。松平家から現当主定純さまのご息女 華子様がお出ましになり、江戸時代の定信公と隠居されていた静山公のお屋敷が近く文化的な交流があり平戸藩主煕公に定信公の息女蓁姫が嫁がれたご縁が脈々と現代までつながっているという御宗家様からのお話があり和やかな歓談の夜はふけました。
当日はお天気に恵まれ九時からのお献茶式は五十名満員でした。式終了後、お客様を翠楽苑の茶席にご案内致し、主菓子を召し上がられた主客の華子様を犬走りに敷かれた毛氈を伝って広縁付きの二十畳の広間にお通し致しました。皆様は初めて目にされたという武家茶道鎮信流の品格のある設えに圧倒されたご様子でした。台子 草の草の点前が始まり、凛とした雰囲気の中、井戸茶碗に練られた濃茶を御正客の松平様にお運びいたしました。陰点の濃茶が運ばれ御宗家さまがお話しをされた後、薄茶席へと移られ、お茶がとてもおいしかったとうれしい言葉も頂戴致しました。
 
濃茶席・薄茶席は各々六席用意され目まぐるしい一日で反省することが多々ございますが、皆様と共に参加し若い方々がきびきびと動かれる姿を頼もしく拝見した一日でもございました。
思い起せば、平成三年五月御宗家様が南湖神社でお献茶あそばされた折にお供をさせていただきました。そして、白河では現在鎮信流のお稽古も行われており、月一回翠楽苑に通い熱心な白河の皆様と稽古を続けております。今回二十五年ぶりに御宗家様の定信公を祭神とする南湖神社で定信公と静山公の献茶式に少しでも関われましたことの幸せをつくづくと感じ、鎮信流のますますの繁栄を念じました。