第二十八回 柳営茶会にて
 
東京支部 吉留康司
 平成26年6月21日土曜日、東京音羽・護国寺にて第二十八回柳営茶会が開かれ、当日は初夏の風に肌も汗ばむ一日となりました。
 今年は徳川家康公の遠忌に際し、ご宗家様のお献茶が楓の間にて執り行われ、それからお茶会へと進みました。
 
 茶室は逆勝手、一畳床に、お軸は御宗家様の遠祖渡辺綱公が羅生門に鬼を退治に行くところを描いたもの、お花はヌルデというウルシ科の木を活けたものでした。
 
 お伺いしたのですが、その昔聖徳太子が、蘇我馬子と物部守屋との戦いに際し、ヌルデの木で仏像を作り、馬子の戦勝を祈願したとの伝承から、勝の木、縁起の良いものとして戦の前に飾ったとのことでした。
 お軸とお花の意味合いが鎮信流らしいおもてなしだと勉強致しました。
 
 私はお点前とお運びを担当させていただきましたが、逆勝手でのお点前は私にとり初めてでしたので、いつもより意識を高めてのお点前を心がけました。
 その席に小学一年生の男の子が次客様としていたのですが、普段の厳かさと違う優しい和やかな席になり、同じ席でもお客様で席の雰囲気は変わるものだと思いました。
 
 また、お茶のお運びはそのお出しするタイミングがとても難しいのですが、今回水屋の方々に絶妙のタイミングで点てていただき、とても状態の良いお茶をお運びとして自信を持ってお客様に出すことができました。
 
 そして改めて思いました、お点前 半東 水屋 お運び 各役目が一つになって初めて、良いお茶をお出しすることが出来るということを。
 
  私自身、茶道と出会って4年目です。
 日々、作法や歴史の意味深さに振り回されがちですが、美味しいお茶をお出しするというシンプルですがとても大事な事を忘れず、精進しなければと思う、今回のお茶会でした。