初釜に参加して
下関支部 松要会 巻幡清子
 毎年新しい年は、鎮信流の初釜に出席させていただく事から始まります。 早朝の雨も上がり、今年も天候に恵まれ、玄関を入ると暖かい陽ざして゛花が香り立って迎えてくれました。待合で蛍ぼりの繊細な器に入れられた甘酒をいただき、久しぶりにお会いする方々と嬉しく会話を交しました。
 平素は炭の香をかぐ事のない中で、太い炭を組立てて火を起こす炭点前も、とても新鮮に思えます。
お濃茶席には、鎮信公三百年遠忌・雄香寺燈妙禅師三百年遠年諱記念にいただいたお品が掛け軸に仕立てられてあり、ご宗家への尊敬の思いが伝わりました。静澄な中、濃茶の好きな私のために、美津枝さんがたっぷり点てて下さいました。
 薄茶席では、空気がすっかり変わり和やかな雰囲気にかわりました。お軸は中国に旅行された時に、愛新覚羅壽古様に「和」の一文字を書いていただいたとの事でした。薄茶席らしく遊び心があふれた羽子板の香合とつく羽根の蓋置。女の子の伝統的なお正月の遊びも遠くなった今は、忘れられつつあるのかもしれませんが、懐かしく嬉しい心遣いでした。ゆったりしっかり薄茶をいただきました。ご用のため初釜終了後、帰途につかれる方のお迎えに来られた方が、何十年も前に幼い坊やとしてお席におられた方だとわかり、その歳月に驚きそれと同時に我が歳を納得した時でもありました。
 鎮信流の初釜には、仁田先生の時から出席させていただいておりましたが、 この十年近く再び楽しませていただいております。改めて色々の意味で時の流れを感じる初釜でした。
お陰様で新しい年がスタートします。


炭火の香 静かに広ごる お茶室に / 康子
紅白の 槍梅まとう こがね椀 薄茶をいだき 初春告げる / 春霞
一服の 茶に込められし 陽光や / 静女