はじめての初釜
下関支部 松要会 星野薫里
好天に恵まれた1月9日、初めてづくしの初釜は緊張の連続でした。
待合で、甘酒をいたただき、お正月らしい器に上品に盛られたお料理を、皆様の楽しい会話と共に美味しくいただきながら、緊張が少しほぐれました。
濃茶はお庭から茶室にお邪魔しました。入る前に蹲踞で手と口を清めます。蹲踞に入っていたのは冷たい水ではなく、温かいお湯でした。おもてなしの心配りに感動しました。
濃茶席は猿引き棚という華やかな棚が今年の干支と重なり、お正月の風情が増しました。水指が引き戸の中に入っているというのを初めて拝見しました。
床の軸は沢庵和尚辞世の「夢」という字。今年1年頑張ろうと思う力を与えられた気がします。川端康成が「沢庵和尚遺墨」と書したという、貴重な軸箱を拝見させていただきました。
薄茶席の軸は「香梅暖凮」。現代の漢字とは違い、型も独特で、力み過ぎないことが大事と言われたような気がしました。末客として濃茶を戴くのはもちろん初めてのこと。作法に不安があります。帛紗の扱い、懐紙の準備、黒文字の使い方。薄茶もまだまだ半人前にもならないのが実状です。先輩方の所作を見ながら先生のフォローを頂戴し、いい勉強になりました。
着慣れない和装に、まだまだ苦手な正座。不慣れなことが多過ぎて、細やかな心配りでお招きして下さったのに、失礼になってしまったと反省しきりです。
お茶を習わなければ出会うことの出来ない方々と、同じ空間でお話しできた機会を得たことに感謝をする日でもありました。一つ一つしっかり学んでいこうと思います。
初めての初釜を終えて、今年1年、進歩できるように頑張ろうと気合を入れることができた1日でした。
初釜に 集う仲間の 個性燦/康子 蹲の 傍に陽を受く 藪柑子/静女
お濃茶も 薄茶も美味し 初釜や “夢”の軸 初釜の席 祝いけり