夏便り  鎮信流を学び始めて
下関支部 松要会 星野 薫里
私が茶道を習おうと思ったきっかけは、回数は少ないのですが、何度かお茶を振舞われた際、知識が全くなく、非常に困った経験からです。今思えばもてなして下さった方に非常に失礼なことをしたと思います。
武家茶道鎮信流を知りましたきっかけは、奈良在住の叔母がかって習っており、現在も特別会員として在籍していることから、見学の機会を得、入会を申し込みました。
見学の前は、礼儀作法などが大変で(言葉が悪いですが)堅苦しさがあるのではと構えておりましたが、浜谷先生のお人柄により説明を受けました鎮信流の存意を知り、不安と緊張がなくなりました。  
招客側の所作の流れ、客側の礼儀作法。「お先に頂戴致します。」という心。
拳での一礼。とても新鮮でした。武家茶道ならではの時代と歴史を感じた気がしました。
袱紗さばき。先生方は無駄なく、綺麗な流れでさばかれます。お手本の拝見時は簡単に見えますが、いざ、実践すると自分が見たお手本の映像と自分の動作のどこがどう違うのかがわからず、困惑と苛立ちを覚えました。
今でも全く形に近づけない筆頭が茶巾さばきです。一度も綺麗な形にできたことがありません。
当初は点前の一連の流れを覚えることの多さに萎縮してしまいました。少しずつですが、流れがわかってくると、今度は、動きの一つ一つをきちんと正確に丁寧にしなければ、みっともなく、失礼にあたることがわかってきました。わかってはきましたが、それを実際に出来るかというと非常に難しい!元来の自分の性格の雑さを知ることとなりました。
お稽古に行く時の楽しみの一つがお花です。稽古場の玄関で出迎えてくれます。会員のご自宅の庭に咲いている花を持参され活けられているのですが、季節の変わり目を教えてくれます。
色も鮮やかで、仕事終わりの癒しと、“これからお茶を習う”という気持ちの切り替えをしてくれます。
お茶を習い始めて、自然を感じることの贅沢さに気づくことができたと思います。心は形にあらわれると云われますが、これからも正座のしびれと性格の雑さと向き合い、自身の向上に精進出来るよう、努力したいと思います。
※ 逆勝手のお客は写真を撮るため変則的に座りかえたものです。