鎮信公お祭茶
松蓊会 佐々木 隆夫
 11月11日は様々な記念日とされており、例えば漢字で十一月十一日と示せば、プラスマイナスが連続することで、「電池の日」と呼ばれることがあります。数字で11月11日と記すと「介護の日」と呼ばれることもあり、「いい日、いい日、毎日、あったか介護ありがとう」の「いい日、いい日」の部分を日付に合わせたと介護領域では示しています。
 さて、この言葉の後ろの部分にある「あったか介護ありがとう」を佐々木なりに解釈してみたいと思います。介護は援助者の思い通りに実践しようとすると受け手側は、大変な労苦を負うことになります。同じく、受け手側の都合だけを示して、援助者の都合を考えないと、その人間関係の中でわだかまりを生むことになります。つまり、援助者は受け手を考え、受け手は援助者を考え、良い介護を作っていくことが求められます。
 「援助者と受け手」の関係は介護だけの話ではありません。人間社会はあらゆる点で、相互のやり取りによって成立しています。私自身が鎮信流の点前に初めて触れたのは2015年になりますが、「亭主と客のみならず、茶席を共有する者が相互に理解し合う、思いやる関係」を、点前を通じて感じております。
 雑記のような記載が長くなり、失礼いたしました。
 2023年11月11日に大阪支部では、鎮信公お祭茶を執り行いました。今回は、松田副支部長の長板による点前でした。当日の参加者は、宇路支部長と佐々木の3名であり、鎮信公にお茶を献じる役を佐々木が行いました。天目茶碗や天目台の取り扱いで実際に触るのが初めてのことや、床における香合等の扱いについて、当日稽古を通じて支部長、副支部長のお2人からご指導いただき、お祭茶に備えました。
 昨年は末席に座り、鎮信公へ拝礼をするだけでしたが、今年は役割が違います。鎮信公への失礼な振る舞いはできませんし、松田さんの点前を台無しにすることはできないという緊張感がありました。上述したように、「茶席を共有する者が相互に理解し合う」関係を実践しなければ、全てを台無しにすると理解しておりました。
 支部長の差配、副支部長の点前、佐々木のお運びと其々が役割を担い、大阪支部の鎮信公お祭茶を無事執り行うことができました。
 鎮信公お祭茶が終わると、炉を開く時期になります。立冬を迎え、日に日に寒くなっていきますが、皆様、お身体に留意してお過ごしいただければと存じます。