聖福寺四季釜秋の席
長崎支部 松和会 中村 好
 今年の聖福寺保存会四季釜は、秋の席を担当させて頂きました。
前日に東日本中心に襲来した強大な台風からの強い風がこちらへも吹いてくる中、かの地の災難に心を寄せた「秋の月」を主題にした席を整えました。
大書院のお軸は流祖鎮信公のお手によります平安末期に活躍された西行法師が詠まれた歌「鷲の山曇る心のなかりせばたれも見るべき有明の月」。軸装の青が秋の月をますます引き立てるようなすっきりとした御軸です。現在このようにしっかりと残る和紙の丈夫さと、西行法師が詠まれた時から800年、流祖がその和歌をお写しになりその後現在まで400年あまり過ぎた時間の悠久さに驚嘆し、それを間近に目にすることができる幸運に感謝いたしました。
 お花は月夜に照らされる草原が思い浮かぶような七種のお花が、閑雲亭の改築の際に切り出された竹に入りました。脇床には小さな菊の花がふたいっぱいに施された満月を思わせる香合を置きました。
お席は中風炉でお点前を致しました。水指は細水指で、暑かった夏を過ぎて秋を迎え、冬へと季節が移り行くことを改めて感じさせるお席のように思いました。
 今回初めて五席目でお点前をさせて頂きました。門人の皆様がお見守り下さるなか緊張しつつ多少の手順違いもございましたが、何とか勤め上げることが出来ました。お客様に美味しいお茶を差し上げようと思うことを一番に所作もより丁寧に出来ますようにますますお稽古に励まねばと思ったことでした。