大小賀歳旦

令和元年に「流儀の周辺」にてご紹介させていただきました『大小賀歳旦』について、2度目の寄稿です。
今回はより具体的に多くの画像で皆様にも楽しんでいただきたいと思います。
江戸時代は現在の太陽暦と違い、年ごとに月の大小が変わり、非常に暦が解りづらいものでした。
そこで毎年幕府の天文方が作成し、幕府が認めた問屋が制作を行っていました。
このような中、年ごとに変化する月の大小を、頓智を活かした挿絵の中に漢数字を巧みに配置し、俳句や狂歌などを織り込み摺物として交換し合うようになります。18世紀には裕福な旗本の趣味人をはじめ町人層まで「大小交換会」として、爆発的に流行しました。是を集め貼込帖『大小賀歳旦』としてコレクションしたのが松浦家第34代松浦静山です。

静山自著『甲子夜話』においても度々話題にしています。酒を好まない人に、特に覚えられている句として、紹介したものが次の大小の月に対しての句です。
「正月二月三月四月五月六月七月八月九月十月十一月十二月
         大好(つき)は雑煮草餅柏餅
                   盆のぼた餅亥の子寒餅


*それでは挿絵に巧みに配置された大小の月を確認できますでしょうか?

  
明和八年
正月二月三月四月五月六月七月八月九月十月十一月十二月

   ヒント こぼれたお餅!   


明和九年
正月二月三月四月五月六月七月八月九月十月十一月十二月

         文責 松浦史料博物館 岡山芳治