平 戸 の 凧
松浦史料博物館/館長:木田 昌宏
 
 「お正月には凧あげて、コマを回して遊びましょう」と童謡にも歌われるように、凧あげはお正月の風物詩です。
 平戸には「おにようちょう」と呼ぶ凧があります。漢字では鬼洋蝶と書かれています。
 凧の図柄は平安時代中期、松浦家第5代にあたる渡辺綱の鬼退治の様子を描いています。 当時京都に勢力のあった鬼同丸という悪漢を倒したことで有名ですが、これがいつしか鬼退治の話になったようです。 綱は坂田金時、臼井貞道、平季武と共に源頼光の四天王の一人ですが、豪傑として知られています。
 一昔前までは、畳何畳もある大きな鬼洋蝶を上げていたそうですが、最近はほとんど見られず、 郷土のお土産品として、携帯に便利なミニチュアが販売されています。
 凧の後部に豪壮な唸りが出るように、弦を張っています。同じ様式の凧として、壱岐の「おんだこ」、 五島の「バラモン凧」などがあります。
 写真は松浦史料博物館に展示中の畳1畳ほどの「鬼洋蝶」です。