龍門寺献茶式・お点前を終えて
松祐会福岡支部 博多絵理  
                
 満開の桜に柔らかな春の光が降り注ぐ中、龍門寺にて御献茶式・茶会が執り行われました。御献茶式の始めの聞き覚えのある太鼓の軽快なリズムに、今年も参加できることへの喜びを感じました。まもなく収様による盤珪禅師様・鎮信公様へのお献茶、御老師によるご供養がなされました。その後は、大福茶の席に入れていただきました。御床には「虎嘯風生」のお軸と桜が飾られていました。大きなお茶道具と襖絵に圧倒されながらいただくお茶は格別で、口にするなり頬が緩むのがわかりました。
 鎮信流の濃茶席で、私は4席目のお点前を務めさせていただきました。初めて人前でのお点前を経験する私が緊張しないようにと、収様が様々な話題に花を咲かせてくださり終始和やかな雰囲気のお席でした。ただ、そんなお心遣いと反比例するかのように私の手の震えは次第に大きくなり、柄杓の中のお湯がぴちぴちと音を立てて跳ねておりました。結局最後まで緊張しっぱなしでしたが、席主はじめ半東、お運び、又水屋の皆様の手際の良い働きのお陰でなんとかお点前を終えることができました。
 
 お茶を飲まれた方々の「美味しい」という声や笑顔に触れることができる特等席に座らせていただき、感謝の心でいっぱいです。加えて、前日の空点前の際にも多くの先生方に細部にわたりご指導いただき、また、当日の本番直前まで「大丈夫よ。」とあたたかい言葉をかけていただき大変ありがたかったです。お稽古を初めてまだ間もない私ですが、今回の経験を通して、鎮信流のメンバーの一員になれたようで大変嬉しく思いました。
 この二日間を振り返ってみますと、茶道に関する学びは勿論のこと、諸先輩方のお食事の際の所作や言葉遣い等の美しさ、随所に表れる思いやりの心に多大なる感銘を受けました。学びの多い2日間となり、興奮冷めやらぬ気持ちで帰路につきました。
 今後も美味しいお茶とお菓子を楽しみながら、強く美しい点前に一歩でも近づけるようお稽古に励んで参りたいと思います。