令和2年初釜に参加して
松親会 徳江 久子
令和初の新年を迎えた1月12日、横浜の三渓園に於いて鎮信流の初釜が催されました。薄日さす穏やかな朝でした。
午前中は薄茶席に入らせて頂き、お床の凛とした水仙に新春らしい清々しさを感じました。お軸は鷹の絵でしたので富士山と茄子を探すのを楽しみに濃茶席に入りました。寄り付きにはいると、ご宗家の描かれた茄子の絵があり、また、本席には富士山のお軸が飾られておりました。
お棚にはオランダ国王御一家が御宗家様と奥方様の着物をお召しになった、微笑ましお写真が国王様のメッセージを添えて飾られておりました。前々より、王女様三方様が着物を召したいとのことで、家内の振袖を五着ご用意いたしておりましたが、当日になり国王様も王妃様もお召しになりたいとのことで急遽国王様がご宗家様の着物をお召しになってオランダ国王家族全員で記念写真をとられたとご宗家様からお話しがありました。続いて、オランダ国王からご宗家に贈られた国王家用の特別な印の入ったデルフト焼の茶入れを使ってご宗家様が自ら濃茶をお練り下さりました。毎年こうして間近で拝見できる事は門人にとりまして励みとなり幸せな事でございます。
午後は奥方様の薄茶席でお点前をさせて頂きました。今年のお道具はお棗が赤色の玉、主茶碗が白の粉引でございました。日の丸のイメージでオリンピックイヤーの今年にふさわしいと感じました。奥方様は、緊張している私へご配慮くださり、いつもより早目お席にお出まし下さいました。何とか点前が終わり水屋に戻りましたら、「ご一緒にお茶を頂きましょう」と、奥方様が笑顔でお菓子とお茶をお運び下さいました。お心遣いに濃茶席に飾られていた色紙の“和顔愛語”という言葉を思い出しました。それはまさに今日、奥方様が身をもってお示し下さった教えそのものであり、大切な心の在り方を学ばせて頂いた1日となりました。