三溪園の初釜
松親会 佐藤よしえ
 2019年1月13日、雪が心配されたとは思えない美しい晴天が広がる日に、三溪園にて鎮信流の初釜が開かれました。
平成最後の今回は、新しい年号を迎える喜びと不安に緊張するような想い深い春となりました。
 午前の濃茶席の水屋のお手伝いを初めてさせていただきました。 初めてのことで、前日から貴重な道具の扱いに大変緊張しておりました。何かあってはいけないので、ゆっくり、ゆっくり慎重に動こうと気を付けました。水屋の方々の、御客様により良いおもてなしをしようとされる姿から、普段のお稽古だけでは学べない事が多いことに、今更ながら気づいた様に思います。
ご一緒させて頂いた水屋の方々、本当にありがとうございました。
初めて拝見させて頂く御宗家様の紹鷗棚のお点前にたいへん感動致しました。又、亥の絵が描かれた掛け軸の下に、熊笹や数種の葉、枯葉の野趣に驚きました。違い棚には十二支のガラス箱の前に並んだ亥のお人形が愛らしく、見入ってしまいました。
濃茶席では、水屋の様子が分っていただけに、一服のお茶を感謝の気持ちを持って大事に頂戴致しました。
 点心の後は先に薄茶席に入りました、薄茶席では、日差しも明るい御茶室で立礼での薄茶を美味しくいただきました。
干菓子の種類が沢山有った上に華やかに美しく盛られ、午前の方々は選ぶのに困ったとの事でしたが、午後はお好きなものをとの奥方様からのお言葉に甘えて、三つ程とらせていただきました。今年も食いしん坊は治りそうも無い私です。
紅白の梅が生けられた舟の竹の花入の上に飾られた、満面の笑顔が印象的な寒山拾得の掛け軸は、平成という年号を笑顔で見送る様に選ばれたとの奥方様のお話を伺い、平成に感謝と名残惜しさを感じました。
 初釜は、深く学ばれた方々や、私の様な浅い学びの者も一つの事を行い学べる貴重な場で、参加させていただき、御宗家様、御奥方様に感謝しております。